Atomとは何者？

Atomとは、小型、低消費電力、高性能という実現が
難しいとされる三つの項目を見事に果たしたインテルの
ノートパソコン用新プロセッサである。

・低消費電力
最大の特徴はこれまでのノート PC 向けプロセッサに比べて
圧倒的に優れた低消費電力だ。
現在主流のノート PC 向けプロセッサである
Core 2 Duo プロセッサの熱設計電力（TDP）は最大35W（ワット）だが、
Atom の TDP は0.6～2.5W程度と14分の1以下で消費電力が極端に低い。
・小型
Atom は約24平方ミニメートルとダイサイズが非常に小さいことも特徴の一つ。
しかもそのダイに4,700万個ものトランジスターが集積されているのだ。
・高性能
プロセッサとしての性能も高く、インテルの Core 2 Duo プロセッサの命令セットと
互換性も維持している。さらに新しいアーキテクチャーがマルチスレッドに
対応したことで、パフォーマンスを向上すると同時にシステムの応答性を高めている。

Core 2 Duoは性能としては格段に高いが、その分電力を消費する。
高性能な製品が電力を多く食うのはPS3も良い例だが、どれも同じようなパソコンなのに
消費電力が変わってきてしまうということから電力において一貫性が無く、
つまり、どのパソコンも同じように見えるのに消費電力が違うということになる。
ということは、電気代が変わってくると言うことになり、
ノートパソコンを複数台持っている人にとっては苦しい面もあるだろう。 

そして、小型という面から見てみると、
技術力の結晶以外に当てはめる言葉が見つからない。
インテルの最新の、そして高度な技術力を
改めてライバル他社に見せつける大いなるチャンスではないだろうか。
そして、ライバル他社はインテルを抜こうと必死で努力するものの
なかなかうまくいかないという現実がそこに待ち構えているのであった。
残念なことに、インテルは抜けない。

最後、高性能という面から見るとどうだろう。
Core 2 Duoの命令セットを維持しているとなるとほぼCore 2 Duoと考えて良いだろう。
しかし、Core 2＝コアが2個　「あれ？」と思う人もいるだろう。
そう、今回Intelが発表したAtomはコアが一個の物である。
将来的に、コアを二つ、あるいは四つ搭載した物を発表していくだろうと予測が付くが、
まずはシングルコアから、と言う発想だろう。
ユーザーの動向を見極めるという戦略もあるのかもしれない。
そして、ペンティアム4で一躍有名になった
「ハイパースレッディング・テクノロジー（HT）」
の互換版が搭載されているようで、詳細は不明だが対応している周辺環境があれば
「理論上2コア」としてタスクマネージャーなどで表示される、と言うことだろうか。
これらについては購入者のレビューを待ちたい。

VIAやATI等に挑発され、ついに小型CPU市場に参入したIntel。
そこでの今までのCPU技術を生かして開発した初めての新製品Atomの人気は
上々のようで、ASUSのEeePCに採用されるなど、その人気はしばらく衰えないだろう。
また、わざわざAtomの魅力を体験するために
マザーボードとセットになっているAtomを購入する人もいるようだ。

将来的には、この小型と低消費電力というメリットを元により改良され、
携帯電話やデジタルカメラ、オフィス機器などにも搭載されていくことだろう。
多くの機器にAtomが搭載されることで、Windows 95の爆発的ヒットのようにAtomも
同じような軌跡をたどっていくことになるのではないだろうか。
しかし、油断してはいけない。
隣を見るとAMD（CPU部門）というライバル。
Atomの高い売り上げに一喜一憂しているとAMDにパソコン用8コアプロセッサーを
開発されてしまうなど、先を越される可能性もある。
何事も、バランスが大事と言うことである。

まずは、Atomを、多くの人に理解してもらうことからはじめるのが大切だろう。